| 頭蓋頚椎移行部硬膜動静脈瘻 craniocervical junction dural AVF |
| 画像所見 |

・中脳〜延髄の境界不明瞭なFLAIR高信号域.
・左側優位に分布し, 上小脳脚や中小脳脚にも広がる.
・内部にstripe状の低信号域が混在する.
・軽度の脳腫脹を伴う.

・出血と思われる微細なT2*WI低信号域あり.
・T1WIでは不均一な低信号を示す.
・大部分は拡散制限を認めない.

・1週間の経過で, FLAIR高信号域の広がりに著変なし.
・内部にリング状造影効果あり.
| 鑑別診断 |
・High grade glioma
・脱髄性疾患?
・神経Behçet病/神経Sweet病
・PRES


診断
頭蓋頸椎移行部 硬膜動静脈瘻による静脈鬱滞
Brainstem Venous Congestion due to Craniocervical Junction dural arteriovenous fistula
経過
1ヶ月後の術前Angioにて自然閉鎖が確認された.
| 頭蓋頸椎移行部 硬膜動静脈瘻 Craniocervical junction dural arteriovenous fistula |
・男性に多い. 年齢中央値 56歳.
dAVF全体のpopulationと同等そう...
・稀な発生部位であり, 硬膜動静脈瘻のうち約3%を占める.
1.海綿静脈洞 (45.5%), 2.横・S状静脈洞 (28.3%), ... 10.頭蓋頸椎移行部 (3.3%)
・流出静脈が上行性 or 下行性で大別される.
流入動脈 |
流出静脈 |
臨床症状 |
1.Dural branch of Vertebral artery 2.Radicular artery |
上行性 |
1.くも膜下出血 (最多, 52%) |
下行性 |
静脈鬱滞による脊髄症状 |
| 硬膜動静脈瘻の自然閉鎖 Spontaneous closure of dural arteriovenous fistula |
・これまでに多数の症例報告やreviewあり.
2022年のreviewでは13%:2施設のnon-cavernous dAVF 68症例中9症例
・診断から閉鎖までの時期にばらつきがある.
36%が診断後 3ヶ月以内に閉鎖
・血管造影が素因の一つと考えられている.
推定機序:選択的造影による造影剤鬱滞や血管内皮障害による血栓化
Moriya M, et al. No Shinkei Geka. 2007 Jan;35(1):65-70.
Luciani A, et al. AJNR Am J Neuroradiol. 2001 May;22(5):992-6.
Kashiwagi N, et al. J Neuroradiol. 2022 Jan;49(1):94-100.
| 硬膜動静脈瘻による脳幹部静脈鬱滞 Brainstem venous congestion due to dural arteriovenous fistula |
画像所見
・T2WI/FLAIR:静脈鬱滞により脳実質の高信号を呈する.
・DWI:基本的には信号変化を認めないが, 静脈性梗塞の程度により高信号を呈する.
・CE-T1WI:BBBの破綻による造影効果域を生じることがある.
・T2*WI / SWI:出血性梗塞により低信号を呈することがある.
・Shunt pointによらず, 脳幹部のdrainageを司るpetrosal systemの静脈圧上昇により生じる.
過去にCavernous sinus dAVFやTransverse-sigmoid sinus dAVF など、さまざまなshunt pointで生じた報告が多数あり.
・画像所見が脳腫瘍と類似しうる.
過去にも多数の類似する症例報告あり.
異常血管が同定できれば診断に苦慮しないが, 一見するとわかりにくい場合もある.
Bussière, Miguel MD, et al. Journal of Neuro-Ophthalmology 29(1):p 21-25, March 2009.
Wang XC, et al. World Neurosurg. 2018 Oct;118:181-187.
Tsuji K, et al. NMC Case Rep J. 2021 Sep 16;8(1):617-623.

stripe状にFLAIR高信号/低信号が混在し, 腫脹もそれほど強くなく, びまん性浸潤のgliomaとはやや異なる所見.

リング状の造影効果域や微小出血は橋の左半側に限局し正中を超えず, 静脈灌流域に沿うような分布と思われた.
| Take Home Message |
・脳幹部腫瘍との鑑別を要した硬膜動静脈瘻の症例を提示した.
・脳幹部のT2-FLAIR high lesionを見た場合, 硬膜動静脈瘻による静脈鬱滞の可能性を考慮し, 異常血管の有無を検索すべきである.
参考文献
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