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第 410 回 東京レントゲンカンファレンス[2024年6月20日]

症例3 30歳代 男性:咳嗽
心房細動に対するカテーテルアブレーションに伴う左下肺静脈閉塞症
Left inferior pulmonary venous obstruction complicated with pulmonary vein isolation for atrial fibrillation

 

 鑑別診断

・肺炎(感染性肺炎)
・器質化肺炎
・肺梗塞 など

 

 心房細動(Af)に対するカテーテルアブレーション

・肺静脈隔離術(Pulmonary vein isolation: PVI)
 高周波カテーテル、クライオバルーン、高周波ホットバルーン、内視鏡レーザーバルーンなど

・方法:大腿静脈からシースを挿入し、Brockenbrough針で心房中隔を穿刺し、
    右房から左房へアプローチして肺静脈周囲の焼灼を行う。

・機序:肺静脈-左房間を電気的に隔離することにより肺静脈からの期外収縮が左房に伝わらなくなるため、
    心房細動の発症を防ぐことができる。

・代表的な合併症:肺静脈狭窄、心タンポナーデ、急性胃拡張、横隔神経麻痺、左房食道瘻など

 

 カテーテルアブレーションによる肺静脈狭窄/閉塞症

・頻度:0.32~3.4%
・症状:呼吸不全、咳嗽、胸痛、血痰など。
・原因:肺静脈の過度な焼灼
    →肺静脈の遠位部の焼灼、高出力や複数回の焼灼と関連?
・術後数ヶ月程度で発症。1年以上の経過で発症する場合も。
・右と比べて、左肺静脈で多い。
 →左下肺静脈径、左上肺静脈起始部位置、左心耳の構造が関連?
・感染性肺炎や間質性肺炎、器質化肺炎などと誤診され、診断が遅れる。
・治療:バルーン拡張やステント留置
 →再狭窄も多い。約半数が2年以内に再狭窄をきたすという報告も。

・CT所見として、浸潤影、すりガラス影、間質の肥厚、結節、crazy-paving appearance、気管支壁肥厚に加え、
 肺血管陰影の狭小化や肺葉の容積低下
を伴うと報告されている。

・造影CTでは、肺静脈の狭窄/閉塞に加え、肺動脈も狭小化する。

・機序:肺静脈のうっ血
       ↓
    静脈の出血/間質の梗塞/毛細血管の破壊
       ↓
    肺動静脈の血流が減少


 結語

・Afに対するカテーテルアブレーションに伴う肺静脈閉塞症の1例を報告した。
・本疾患では誤診例も多い。診断には病歴の確認が重要と思われる。
・肺血管陰影の狭小化や肺葉の容積低下は早期発見の鍵となりうる。

 


参考文献

  • 澤村駿吾ら. 臨床画像 38(7) 増刊号: 14-23, 2022
  • Edriss H, et al. Respir Med 117: 215-222, 2016
  • Yokoi K, et al. Circ J 2024 Mar 16. doi: 10.1253/circj.CJ-23-0892
  • Kojima S, et al. Intern Med 63: 1443-1449, 2024
  • Goitein O, et al. J Thorac Imaging 35(3): 179-185, 2020